2018年4月のGoogleトレンドによるカラオケ動向調査を行いました。
カラオケに関する検索として想定される「カラオケ + 〇〇〇」といった検索ワードでの抽出です。
この検索ワードでの検索数が最も市場のカラオケに関する検索動向に近い結果と思われます。
直近の値が確定している2018年3月の数値を見ると、「DAM」+「ダム」が57+21で78、「JOYSOUND」+「ジョイサウンド」が17+22で39と、2:1。およそ7:3と言われている市場占有率からJOYSOUNDが上昇してきている感じがうかがえます。(このページのグラフの4月にカーソルを持って行った場合のデータはGoogleが日々データを更新しているため不完全です:「部分的(不完全)な情報に基づいています」とあります)
どちらかというと双方の会社のアカウントなどは持っていないような「一般の」カラオケユーザによる検索結果を多く含んでいると見るのが正しいかと思います。
このグラフによるとDAMは2017年10月あたりから、JOYSOUNDは2017年7月あたりから右肩上がりの傾向が見られます。
それぞれ新機種LIVE DAM STADIUM STAGE、JYOSUND MAX2の発売時期と合致します。
新機種発売だけの要因ではないかもしれませんが市場が活性化してきたことが見受けられます。
特に今年の春の「カラオケ DAM」の上昇率は激しく、カラオケバトルなどのTV放送を見ていたかたが一気にDAMになだれ込んでいる様相が見受けられます。
ただ、「ダム」や「ジョイサウンド」など「カタカナ検索」の検索数が右肩下がりです。
サービスの正式名「DAM」「JOYSOUND」を知らないようなあまりカラオケに関心が無い層の人々がカラオケについて調べる場合の検索ワードかと思われます。
これが右肩下がりというのは、カラオケをする人はかなりな頻度でカラオケして、カラオケをしない人は全くしなくなってきている二極化が進んできているのか、単にスマホなどでの検索の際の入力用アプリが高性能で正式名を予測変換してくれるだけかもしれません。
上記グラフを「DAM+ダム」「JOYSOUND+ジョイサウンド」で集計し、合計と、JOYSOUNDの比率を加えたグラフを以下に示します。
これを見ると、DAM計は最近5年間で右肩下がり、JOYSOUND計は右肩上がり、結果としてJOYSOUNDの比率も4割近くまで上がってきています。
潮目は2015年なので、やはり2015年7月のJOYSOUND MAX発売以降JOYSOUNDは好調ということになります。
ちなみに、2017年秋からのDAMの検索数の上昇にはLIVE DAM STADIUM STAGE発売と同時に本格導入された「DAM★ともボーカル」の存在もかなり関与していると思われます。
DAM★ともボーカルとは?
LIVE DAM STADIUMもしくは、LIVE DAMのあるお店でDAM★とも録音した曲が規定の条件を満たしている場合にエントリーすることができ、その中で楽曲ごとに1番高い点数を獲得したユーザーの録音曲がお手本として採用され、全国のLIVE DAM STADIUMでカラオケと合わせて再生できるサービスです。(DAM★ともボーカルヘルプページより)
お店で歌うモチベーションが上がるこのシステムは強力なコンテンツだと思います。
「カラオケ」の検索ワード単体で動向を見ると以下のようになります。
近年はほぼ横ばいでしたが、近々で少し右肩下がりに見えていたのが2017年秋あたりからまた盛り返してきているようにも見えます。
一方こちらの検索はサービス名を直接検索ワードに指定した検索数のグラフになります。
どちらかというと双方のサービスのアカウントを持った「ヘビーユーザー」の検索結果と見るのが正しいかと思います。
2018年3月の値では「DAM」+「ダム」が49+30で79、「JOYSOUND」+「ジョイサウンド」が29+59で79となっています。
カラオケ店舗などで機種指定して入るようなヘビーユーザーの動向かと思います。
機種指定して入る人の内訳ではDAM:JOYSOUNDはおよそ1:1くらいなのかもしれません。
上のGoogleトレンドから直接引用したり、データを元に集計しなおしたグラフ全てに言えるのですが2016年1月に「ジョイサウンド」が跳ね上がっているのは、Googleが収集システムを変更したからです。
より現状に則した検索数収集結果に置き換わったようです。
スマホを使用してJOYSOUNDと入力するのが面倒な人はジョイサウンドと入力すると思うので、2016年までのジョイサウンドは埋もれていたことになります。
このグラフを見てもDAMの今年の春の上昇は顕著です。
TV番組などで企業イメージをアップさせ、DAM★ともボーカルなどで歌う人のモチベーションを上げてしっかり心をつかんできているのがうかがえます。
今年の春のDAMの上昇は、リモコン「smart DAM L」の存在も大きいかと思います。
http://www.dkkaraoke.co.jp/business/karaoke_service/products_denmoku/smartdam_l/
比較的小型で反応のよいタッチパネル式リモコンの存在はユーザの満足度向上に大きく貢献していると思います。
一方JOYSOUONDは、2017年7月の新機種MAX2発売以前の2016年9月頃からグラフが右肩上がりとなっています。
全国採点GPなどの採点仕様が安定してきたことと、MAXからのX-Leben音源の良さがじわじわと効いてきて上昇につながっているのかと思います。
私のブログを読み返してみると、この時期カラオケ音がよくなってきたような記載があります。
また2016年9月にはうたスキ動画がFLASHからHTML5に置き換わり、サイトでの視聴の音質が格段に上がったことなどが記載されていました。
打ち込み直しや高音質化など細かい修正を重ねての上昇かと思われます。
新機種MAX2ではハイレゾ対応としてマイク音のハイレゾ化とカラオケ音のハイレゾへのアップコンバートなどが行われ、更なる高音質化が進んでいます。
上記グラフも「DAM+ダム」「JOYSOUND+ジョイサウンド」で集計し、合計と、JOYSOUNDの比率を加えてみました。
これを見ると以前のカラオケブームの頃とJOYSOUND計の動向が一致していることが見て取れます。
結局以前のカラオケブームを牽引していたのはJOYSOUNDなのでしょうか?
近年JOYSOUND計は右肩上がりです。第2次カラオケブームの兆しかもしれません。
採点についても検索してみました。
同じようにDAMの2017年秋以降の上昇が顕著です。
「DAM★ともボーカル」のボーカル採用決定要因が採点にあることから検索数が上昇してきていると思われます。
「採点はDAM」と言われるように、2018年3月時点の「DAM」+「ダム」は79+32で111、「JOYSOUND」+「ジョイサウンド」は25+41で66。比率としてDAM:JOYSOUNDは3:2くらいです。
JOYSOUNDは2017年11月頃から採点の検索数が右肩上がりです。これは2017年7月の採点仕様の小変更後、ユーザーが採点仕様を受け入れていることも匂わせます。
上記グラフも「DAM+ダム」「JOYSOUND+ジョイサウンド」で集計し、合計と、JOYSOUNDの比率を加えてみました。
このグラフによると2011年あたりから両社とも採点の検索数が上がってきています。
2012年以降のDAMは横ばいで、近年は右肩下がりだったところに、「DAM★ともボーカル」登場で息を吹き返した感じです。
JOYSOUNDは2012年から横ばいで、2015年の採点仕様変更でユーザを段階的に増やしてその状態で横ばいといった状況が読み取れます。
総計を見ると近年は採点への関心は右肩下がり。採点のTV番組が沢山ありますが、かえって逆効果なのでしょうか?謎な状況です。
「カラオケ 採点」の検索ワードを見てみました。
ほぼDAMとJOYSOUNDの累計と同じようなグラフの形をしています。
近年の右肩下がりは、採点のTV番組過多でユーザが飽きてきているか、採点のTV番組のせいでユーザが採点に不信感を持っていることの現れかもしれません。
JOYSOUNDは採点仕様を全く新しいものに変更していくと、DAMとの差を詰めてカラオケ採点全体の人気を今後上げることもできる気がします。もちろんDAMも同様です。
それぞれの会員制サービスの名称と、動画サービスの名称で検索数を見てみました。
この結果を見ても「DAM★とも」の昨年秋からの上昇は顕著です。(「★」はGoogle検索では意味のある名称としてカウントされないので「DAM + とも」として検索数を見ています)
DAM★ともとうたスキの比率は2018年3月のデータを見ると72:28で、7:3くらいです。
やはり「DAM★ともボーカル」はキラーコンテンツだと思います。
既存のサービスを上手く組み合わせた素晴らしいアイデアだと思います。
ただ、DAM★ともボーカルのランキング更新のため、DAM★ともサービス全体が毎週火曜日にダウンします。
このあたりのシステム的な改善は必要かと思います。
また、DAM★とも動画のPCでの視聴ページは未だにFLASHを用いています。
FLASHはセキュリティホールとなる可能性がありできれば使用したくないので改善して欲しいと思います。
システムやWebページなど、情報処理の面での弱さがDAMは目立ちます。
「動画はJOYSOUND」と言われるだけあって、「DAM★とも動画」と比較すると「うたスキ動画」の検索数はかなり高いです。
2018年3月のデータを見ると、DAM★とも動画とうたスキ動画の比率は1:14です
しかし、動画サービスはYouTubeをはじめニコニコ動画、また、歌の音声のみを共有できるnanaなど競合するサービスが多く近年は横ばいです。
ある程度のテコ入れが必要かと思います。
双方の動画サービスも動画に撮影者のコメントというか説明が入れられるのですが、DAMは有料会員しかコメントを入れられない、JOYSOUNDは誰でも説明が入れられますが説明が短く動画一覧には説明が一切表示されないなどの欠点があります。
まずはコメントや説明を誰でもある程度の長さを入力できるようにして、動画一覧に表示させて目立つようにしたほうが撮影者の意気込みが伝わり動画視聴の意気込みが上がると思うのですがいかがなのでしょうか?
他には、アプリなどでリアルタイム配信できるTwicasなども人気があり、両社ともカラオケコンテンツを合法的にリアルタイム配信できるような配信システムを実現すればキラーコンテンツになり得ると思われます。
以上、参考まで。